くちなし
2017年 07月 08日
くちなしの花びらを一枚摘み取ろうとしたら、途中で切れてしまった。
白くやや肉厚な花弁は、なんだかつややかな和紙みたいだ。
切れたところをかいでみたら、あのふんわりと甘く妖艶な香りというよりも、少し青臭いえぐみのある匂い。
意外な感じがした。
切れたところから、葉脈が少しずつ茶色になっていく。さっきの匂いは、花の血の匂いなのだと思い至った。
私が好きなあの匂いは、花が生きていないとかぐことができないんだろうか。
花弁を手で、繊維に沿って割いてみる。
白が裂ける、その血の匂いが指先につく。
やわらかく、音もなく裂けていく白い花びらの表面ははかすかにしっとりとしていて、きめこまやかで、私の指の腹に馴染む。
それにしても、子どもの頃と変わって、花や枝を手折ることに随分と罪悪感を感じるようになったなぁと思う。
白くやや肉厚な花弁は、なんだかつややかな和紙みたいだ。
切れたところをかいでみたら、あのふんわりと甘く妖艶な香りというよりも、少し青臭いえぐみのある匂い。
意外な感じがした。
切れたところから、葉脈が少しずつ茶色になっていく。さっきの匂いは、花の血の匂いなのだと思い至った。
私が好きなあの匂いは、花が生きていないとかぐことができないんだろうか。
花弁を手で、繊維に沿って割いてみる。
白が裂ける、その血の匂いが指先につく。
やわらかく、音もなく裂けていく白い花びらの表面ははかすかにしっとりとしていて、きめこまやかで、私の指の腹に馴染む。
それにしても、子どもの頃と変わって、花や枝を手折ることに随分と罪悪感を感じるようになったなぁと思う。
by sumi0313
| 2017-07-08 00:19
| ひびおもう