言葉を伝える練習帳。


by sumi0313
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カテゴリ:ことばづくり( 46 )

【詩】咲く

朝早く
雪が降ったと云う
三月の終わりの或る日

夜深の坂の中空には枝が架かり
その先に二つ三つばかりの白いたましい

桜よ
こんなにも寒い日を選んで
お前は咲くのか

それとも
お前の中で咲こうとする力が
これ以上ないくらいに膨れあがって
もはやいっときの寒さなどものともせぬのか

お前が一番大事にするのは
寒いとかあたたかいとかではなく
いま時は満ちたということなのか

お前はそんなにも強いのか
いや
強いとか弱いとかではなく
お前はいつもそうなのだ

時が満ちると咲くものなのだ
ただそういうものなのだ

私もただそういうものになりたい
寒いとかあたたかいとか
強いとか弱いとかでない
ただ時が満ちて咲き
ただ時が過ぎて枯れる
ただそういうものに


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by sumi0313 | 2017-03-28 03:06 | ことばづくり | Comments(0)

春一番

いまだ冷たき 名ばかりの
春一番ぞ 吹き荒れる
雲、人、私、陽射し、いま
みな流されて 空白の
午後三時半 東京は
何も残らず そこに在り



短い短い定形詩。
定形詩書くのは、高校生ぶり?
久しぶりに書いたものの、どうしても形を整えることが先に来てしまって、
言いたいことをそのまま言えないし、余計なものがくっつきすぎるような気がする。
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by sumi0313 | 2017-02-07 16:57 | ことばづくり | Comments(0)

【短歌】2016年 秋

あさり食(は)み はからずもじゃり、と噛み締めて
彼の郷里の海の香を知る

天気図に暦に街に胸中に台風重ね空高まりつ

今はまだきらきらと日々生きてゆく力足りずに自転車を漕ぐ

なに一つ思うままならずわたくしの髪も口も心も子宮も

ことだまのわが胸中に入り込みあたたかく占むる猫のごとくに

かくも水を含んだ空気はやさしくて
もやけぶる夜にいだかれ帰る

近づくと離れゆくとは星月や波や振り子や人のことわり

くたびれた水晶体を透過する月は確かに綺麗だけれど

生きるとは他者を殺して生きること
かまきり轢きて何を今さら

むくつけき生きもの抱いていたずらに酒を遣る遣るやりきれなくて
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by sumi0313 | 2017-02-01 16:25 | ことばづくり | Comments(0)

【詩】自転車

坂道の途中
寒い冬の夜遅いころ
ぶちん、と音を立て
ブレーキのワイヤがこの世を離れた

とうから気づいていた
錆にまみれたからだ
ぎぎぎと鳴くそこかしこ
壊れたりなくなったりした部品たち
すべてがぼろぼろの私の自転車

新しい自転車を買った
考えた末の考えなしのように
消去法で選んだような自転車
しいて言えば橙の色が目に付いたくらいか

ぼろぼろの死骸は店員に引き取られた

私はなぜか
10年乗っていたその馴れたハンドルではなく
別のハンドルを手にしていることが不思議でならなかった
新しい自転車を買ったのは私なのに
壊れた自転車を引き取ってもらって五百円をもらったのは私なのに

新しい橙色の自転車は
前のものよりハンドルが少し高いようだった
少し乗りづらいと感じた
だけどそれも馴れるだろう

ともに長く時を過ごしたものは
ともにのちの時を過ごせなくなったとき
自分の輪郭が崩れたような気がしてしまう
何の気なしに乗っていた自転車が
不具合だらけであったとしても
ぴったりとして私の生きる形の一部になっていたことを知る

それでもこれから今しばらくは
橙色の自転車と生きる
私が選んだのだから
この少しハンドルの高い自転車も
きっと私の形になる

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by sumi0313 | 2017-01-25 02:26 | ことばづくり | Comments(0)

【短歌】2016年 夏

雨あがり道路にえがく自転車のシークエンスは唯一無二の

おのが色の鮮やかなこと知らぬのかラベンダーの中の紋白

夏至去りて盛夏迎えるこの星を取り巻くすてきなタイムラグかな

濃紺にふつか月ありその端にぷつり指先刺してみたくなる

唐突にあおむらさきの朝顔の塀より覗き夏、とささやく

ゆくりなく海行きたしと思へどもすぐ飛び立てぬ鳥の如くには

まろき月見上げる我の欠損をひとときやさしく補いたりし

ほとばしる蝉の吶喊(とっかん)、放縦にこの肉体を侵せよ、侵せよ

名も知らぬ山の端あかく色づきて陽は我を刺し郷里近づく
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by sumi0313 | 2017-01-16 16:34 | ことばづくり | Comments(0)

【短歌】2016年 春

春の雨心定まらぬこの身撃つ
それがどうした、濡れるくらい

知らぬ道で可憐な黄色「カロライナジャスミン」胸にしまう花の名

千切りのキャベツのなぐさめるようなやさしいみどりふと目にしみる

春になりてコンクリートの隙間から蕾生まれし場所選ばずに

足早に通りすぎたる朱鷺色の季節惜しまず花弁降る夜

心中のエントロピーの増大を知りつつも打ち遣りし、今日も

きらきらと軌跡遺してなめくじの命尽きたる坂の途中で

風光るいつかの春に去りし人の教えてくれたニール・ヤング聞く

さきさきと水菜の茎を噛む音はがらんどうの体内に響き

堪えがたく風やわらかき真昼間に涙落として次の日は雨

「ありがとう」を免罪符にして誰かまた自分の欲望押し通すのでしょう

オリーブの実を結ぶこと無いと知るつぼみつけども花咲かせども

いつもなら一人で走る帰り道を二人で歩く
自転車は降りて

いっときの甘味あじわう夜明け前降らむとす雨よ今しばらくは

風呂上がり髪乾かしていたらこの身に沸き上がる退廃、の文字

一枚の幻灯のようなおぼろ月
総てが作り物に思う真夜中

みずっぽい醤油の海に漂える豆腐のかけら休日も終わり

しあわせのため息ついて本能は夜の深間に生まれて消える
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by sumi0313 | 2017-01-16 16:17 | ことばづくり | Comments(0)

うたづくり

短歌50首に挑戦中。
なので、ブログに載せるのは少しお休み。

出来の良し悪しを問わなければ、とりあえず半分ほど完成。
あと一ヶ月後くらいが締め切りだけれど、できるかなぁ…

いつもにない悩みがひとつ。
50首をひとまとまりにして、題名をつけないといけないんだけど、初めてのことで戸惑う。
これまでは、作ったらぽつぽつとその都度ブログにあげる程度だったから、まとまりとして認識することがなかった。
別にそれぞれの短歌に共通するテーマをもたせなくてはならないわけではないのだろうけど、タイトル?どうしよう?って感じ。
そして短歌を並べる順番。これはさらに悩みそう。
並べる順番とか、何かコツとかあるんだろうか。
誰か有名な歌人の短歌集でも、見てみようかしら…

まあまずは50首、がんばるか。
がんばって、作るものでもないんだけどね。
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by sumi0313 | 2016-04-25 16:51 | ことばづくり | Comments(0)

in the bathroom

溜めすぎた
あたたかいひとかたまりに浸ったら
ぞわ、と鳥肌がたって
つまり冷えた表皮が抵抗した

首まで沈めて
顔ぎりぎりのところを波うちぎわにして
ぼんやりしてみるけれど

思考や感情のちりぢりになったのが
水面から空中にたゆたう

夜も更けて
北側のくもり硝子の窓は
光の加減できれいな藍色
そんな色をしていたなんて
いまのいままで気づかなかった

うたかたにまみれて
つかのまの放念に身をまかせ
うたかたの思いを馳せ

魚座の私は
だいすきな水に包まれて
水と一緒になりたいけれど
水はそれを許してくれない

すこし沈むと
のど元がぎゅうとなって
胸が押しつぶされて
身体のかたちを思い知らされる

今日もあきらめて
湯船に浸かったまま栓を抜く
すこしずつ流れゆく水とともに
私の魂も排水口に吸いこまれる気がした
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by sumi0313 | 2016-03-29 02:53 | ことばづくり | Comments(0)

雑詠 春雷、他

春雷のとどろき人皆ぎくりとす

雷のどう、と鳴る夜 春の一撃

神鳴りていよいよ春めく気配かな


久しぶりの雷の音にびっくりして、思わず「春」「かみなり」を入れてぱぱっと三句。
三句目はちょっとやっつけ感があるかな。


アネモネのかひなに抱えるほどほしい
罪またひとつつんでいくよに

かわいいかな一列並ぶ子どもらの色とりどりの傘の花々


この二つは少し前に作ったもの。
桜は少し足踏みしてるけど、明日からきっと、あったかくなる。
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by sumi0313 | 2016-03-28 21:17 | ことばづくり | Comments(0)

雑詠 立春

春立ちぬ 「いざ生きめやも 」 問うてみる
「否、生くるべし」風冷たしとも


立春を迎えた昨日、堀辰雄の小説にある「風立ちぬ いざ生きめやも」という有名な言葉から、「春立ちぬ」という言葉がわき出た。
せっかくなのでまるまるフレーズをお借りして一句。
本歌取りというか、オマージュというか。

ちなみに、調べてみたら堀辰雄のその言葉はフランスの詩を訳したもので、厳密に言うと誤訳らしい。
原語では「さあ生きていこう」的な肯定的な意味なのに、堀辰雄の訳した「生きめやも」では「生きるだろうか(いや、生きない)」という反語による否定のニュアンスになってしまっているんだそうで。
なので、私はそれを更に否定してみた。
なんだかややこしいというか、まどろっこしい歌になってしまったかな。

ブログに載せてた春の時期の詩歌を見返してみたら、春という季節の割にマイナー調のものが多いことに気づいた。
今年は明るい、楽しい歌を作れるといいな。
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by sumi0313 | 2016-02-05 15:41 | ことばづくり | Comments(0)