言葉を伝える練習帳。


by sumi
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雑詠 早春

午后四時の陽はやはらかに当たれども
まだ肌寒し春はすぐそこ


最近、晴れた日の午後の日差しが、室内からだとやさしく感じられる。
ちょっとうれしいけれど、まだそのやさしさに比例したあたたかさではないのが、外に出るとわかって、そのギャップに少し戸惑う。

それでもミツマタはきれいに咲いたし、沈丁花も花開いてきた。
もう少しだなあ。
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by sumi0313 | 2016-02-28 00:13

スワロウテイル

岩井俊二の「スワロウテイル」を見た。
Swallowtail Butterflyは当時好きで、カラオケでも時々歌っていたけど、映画を見るのは初めて。

昔、いつか、円が世界で一番強かった時代の日本というのが舞台背景。
Yentown(円都、金の街)で生きる、Yentown(円盗、円を求めてやってくる移民)たちの話。

なんだか全編通して奇妙に心を引っ掻かれる映画だった。
うまく言葉にならないな。
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by sumi0313 | 2016-02-22 01:47 | えいが

パトス

あたたかい時は一瞬で、また寒くなった。
当たり前だ、まだ二月も半ばだもの。

寒い時に思い出すのは、俵万智の歌。


「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ


俵万智というと「サラダ記念日」の句が有名だけど、久しぶりに彼女の歌を探していろいろ読んでみたら、なかなかどうして、情熱的だった。
形式や使う言葉の使い方はほんとに柔軟で、それでいて時々がつんとくる。
表現は現代的だけど、歌っていることの本質は普遍的なんだな。
いいなあと思ったの、いろいろあったけど、とりあえず二つ。


地ビールの泡(バブル)やさしき秋の夜ひゃくねんたったらだあれもいない

思い切り愛されたくて駆けてゆく六月、サンダル、あじさいの花


どちらも、下の句のインパクトがたまらない。
ひとつ目の歌なんて、下の句はまるで懐中のナイフみたいにどきっとする。
ふたつ目は、短い名詞の連続にきらきらした慌ただしさが感じられて好き。
私ももっと情熱的に歌いたい…けど、なかなかどうして、難しい。
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by sumi0313 | 2016-02-16 02:58 | ことばさがし

ゴメレス坂の途中

昨日、知り合いのスペイン人がテレビに出ていた。
エミリオは父の古い友人で、父だけでなく私たち姉妹もすごくお世話になった、グラナダのタラセア(寄木細工)職人だ。

テレビを見ていたら、彼の仕事場兼店舗のあるゴメレス坂が映った。
アルハンブラの裏口に通じるその長く細い、石畳の坂の両側には、お土産物屋さんが立ち並んでいる。
姉が昔、短期留学中に借りていたピソ(アパート)もその坂沿いだった。
もう10年以上前の夏、せっかくなら姉がスペインにいるうちに、と思い立って行ったスペインで、グラナダにいた一週間、私は毎日その坂を上り降りしていた。

坂とエミリオの店の風景が、懐かしかった。
ポストカードをもらったり、店じまいの手伝いをしたり、仕事を見たり、一緒にワインを飲んだり、時々ひとりで坂の最後にあるアルハンブラにお散歩に行ったり、知らない人とたくさんハグやベシートをしたり、バルでおそるおそる「ラクエンタ」と言ってみたり、エミリオとゴメレス坂に端を発して、あの時全体のいろんな記憶の断片がとりとめなく思い出される。

エミリオは少しやせたようだけれど、元気そうだった。
もうかなりのおじいちゃんのはずだけれど、テレビ越しに見る分には、あまり変わりなさそうに思えて、少し安心した。彼が作るタラセアは、美しかった。
「次は新婚旅行でおいで」と言ってくれた約束は、なんだか果たせそうにない。
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by sumi0313 | 2016-02-12 15:47 | ひびおもう

血脈

生え初むる 幼子(おさなご)の歯を 覗き見て
いといとおしく 春近しかな


土曜日の昼、久しぶりに姉と甥姪に会ってきた。
少し見ないうちに彼らはどんどん大きくなる。
甥はパパそっくり、姪は姉似だけど妹の小さい頃にも似ている。
ちなみに、妹の子は男の子だけど、なんとなく私の小さい頃に似ているような気がする。
なんだか不思議だ。
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by sumi0313 | 2016-02-08 16:50 | ひびおもう

雑詠 立春

春立ちぬ 「いざ生きめやも 」 問うてみる
「否、生くるべし」風冷たしとも


立春を迎えた昨日、堀辰雄の小説にある「風立ちぬ いざ生きめやも」という有名な言葉から、「春立ちぬ」という言葉がわき出た。
せっかくなのでまるまるフレーズをお借りして一句。
本歌取りというか、オマージュというか。

ちなみに、調べてみたら堀辰雄のその言葉はフランスの詩を訳したもので、厳密に言うと誤訳らしい。
原語では「さあ生きていこう」的な肯定的な意味なのに、堀辰雄の訳した「生きめやも」では「生きるだろうか(いや、生きない)」という反語による否定のニュアンスになってしまっているんだそうで。
なので、私はそれを更に否定してみた。
なんだかややこしいというか、まどろっこしい歌になってしまったかな。

ブログに載せてた春の時期の詩歌を見返してみたら、春という季節の割にマイナー調のものが多いことに気づいた。
今年は明るい、楽しい歌を作れるといいな。
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by sumi0313 | 2016-02-05 15:41 | ことばづくり

グレート・ギャツビー

キルケゴールに手こずっている間に、青空文庫で「グレート・ギャツビー」読了。
始めてその題名を目にしてからもう20年近く経って、ようやく読めた。

時代は1920年代のアメリカ。
謎の大富豪ギャツビーの、はかなく切ない夢の実現と消失が、主人公ニックの視点を通して描かれている。

いつも思うけど、あらすじって書くと陳腐な感じになってしまうな。
実際、私も大昔に本の背表紙に書かれたあらすじだけ読んで、あまり興味を持てなかったら今まで読んでいなかったんだと思う。
今更ながら興味を持ったきっかけは、少し前に見た「ミッドナイト・イン・パリ」という映画に、作家のフィツジェラルドが出ていたから。
主人公たちはちょうど30代前後で、読むタイミング的に良かったような気がする。

今まで「ギャツビー」という人物に抱いていたのは、アメリカらしさが具現化されたような存在、つまり男らしい、肉体的な意味だけでなくマッチョであるというイメージだったけれど、読んでみるとだいぶ違った。
彼はピンクのスーツ(イメージが具体的にわかないけれど)を颯爽と着こなして、大豪邸に住み、物腰穏やかで丁寧だが少し堅い話口調の、30過ぎの男。
パーティーを開いては、誰彼かまわず押し掛けるのをむかい入れる、素性のはっきりしない男。
だけど、その内側には彼にとってのただひとつの夢が、焔のように燃えている。
それはそれは危ういほどの強さで。

人の持つ、夢は両刃の剣だ。
それは人をとても強くしうるけれど、時にあっけなく潰えてしまう。
その望みがいかに強くても関係ない。
手に入らないものはどうしたって入らない時がある。
人に夢、と書いて儚いと読むけれど、まさしくそんな事を思わせる本だった。

また読み返したいな。今度は紙の本で。
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by sumi0313 | 2016-02-04 16:31 | ほんよみ

雑詠 晩冬

年明けて 吐く息白し ようやくに

夜も冷えてぎりりと躯を締め付ける
あっという間に大寒も過ぎ


寒さ厳しい今日この頃。
でも風がなければ、仕事終わりに身にまとうこの冷えきった空気は、そんなに嫌じゃない。

今夜は雪になるかしら。
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by sumi0313 | 2016-02-02 00:16 | ことばづくり