言葉を伝える練習帳。


by sumi0313
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【詩】自転車

坂道の途中
寒い冬の夜遅いころ
ぶちん、と音を立て
ブレーキのワイヤがこの世を離れた

とうから気づいていた
錆にまみれたからだ
ぎぎぎと鳴くそこかしこ
壊れたりなくなったりした部品たち
すべてがぼろぼろの私の自転車

新しい自転車を買った
考えた末の考えなしのように
消去法で選んだような自転車
しいて言えば橙の色が目に付いたくらいか

ぼろぼろの死骸は店員に引き取られた

私はなぜか
10年乗っていたその馴れたハンドルではなく
別のハンドルを手にしていることが不思議でならなかった
新しい自転車を買ったのは私なのに
壊れた自転車を引き取ってもらって五百円をもらったのは私なのに

新しい橙色の自転車は
前のものよりハンドルが少し高いようだった
少し乗りづらいと感じた
だけどそれも馴れるだろう

ともに長く時を過ごしたものは
ともにのちの時を過ごせなくなったとき
自分の輪郭が崩れたような気がしてしまう
何の気なしに乗っていた自転車が
不具合だらけであったとしても
ぴったりとして私の生きる形の一部になっていたことを知る

それでもこれから今しばらくは
橙色の自転車と生きる
私が選んだのだから
この少しハンドルの高い自転車も
きっと私の形になる

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by sumi0313 | 2017-01-25 02:26 | ことばづくり

【短歌】2016年 夏

雨あがり道路にえがく自転車のシークエンスは唯一無二の

おのが色の鮮やかなこと知らぬのかラベンダーの中の紋白

夏至去りて盛夏迎えるこの星を取り巻くすてきなタイムラグかな

濃紺にふつか月ありその端にぷつり指先刺してみたくなる

唐突にあおむらさきの朝顔の塀より覗き夏、とささやく

ゆくりなく海行きたしと思へどもすぐ飛び立てぬ鳥の如くには

まろき月見上げる我の欠損をひとときやさしく補いたりし

ほとばしる蝉の吶喊(とっかん)、放縦にこの肉体を侵せよ、侵せよ

名も知らぬ山の端あかく色づきて陽は我を刺し郷里近づく
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by sumi0313 | 2017-01-16 16:34 | ことばづくり

【短歌】2016年 春

春の雨心定まらぬこの身撃つ
それがどうした、濡れるくらい

知らぬ道で可憐な黄色「カロライナジャスミン」胸にしまう花の名

千切りのキャベツのなぐさめるようなやさしいみどりふと目にしみる

春になりてコンクリートの隙間から蕾生まれし場所選ばずに

足早に通りすぎたる朱鷺色の季節惜しまず花弁降る夜

心中のエントロピーの増大を知りつつも打ち遣りし、今日も

きらきらと軌跡遺してなめくじの命尽きたる坂の途中で

風光るいつかの春に去りし人の教えてくれたニール・ヤング聞く

さきさきと水菜の茎を噛む音はがらんどうの体内に響き

堪えがたく風やわらかき真昼間に涙落として次の日は雨

「ありがとう」を免罪符にして誰かまた自分の欲望押し通すのでしょう

オリーブの実を結ぶこと無いと知るつぼみつけども花咲かせども

いつもなら一人で走る帰り道を二人で歩く
自転車は降りて

いっときの甘味あじわう夜明け前降らむとす雨よ今しばらくは

風呂上がり髪乾かしていたらこの身に沸き上がる退廃、の文字

一枚の幻灯のようなおぼろ月
総てが作り物に思う真夜中

みずっぽい醤油の海に漂える豆腐のかけら休日も終わり

しあわせのため息ついて本能は夜の深間に生まれて消える
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by sumi0313 | 2017-01-16 16:17 | ことばづくり

青春ということ

寝ようとして、布団に入って、すぐに眠れないから、ぼんやりしていたら、ふいに昔のことを思い出して、苦しくなった。

きっかけは、もし、いま一人でスペインに行ったら、って想像したこと。
いまの私が、グラナダの、あのアルハンブラの外郭の、少し高台になっているあたりから景色を見下ろしているところを想像したら、約14年前にそこにいた自分を強烈に思い出した。
正確には、その頃の自分の感覚というか、心持ち、といったものがいまの自分に肉薄して重なった。
あまりにも昔といまが違い過ぎて、苦しくなった。
あの時の自分は、なんて軽やかだったんだろうと思った。
もちろん当時もいろいろ悩んでいたことはあったし、別にいまが重いとか、不幸だとか、そんなことではなくて。

よく、昔に戻りたいとか、子供の頃に戻ってやり直したいとか言うけれど、私はいままでずっと、戻りたいなんて思ったことはなかった。
それが、その瞬間、少しだけ思ったような気がした。
でもよく考えてみると、それも違う。
やっぱり、戻りたいわけではない。
でももう二度と過ごすことのできないあの時は、「絶対に戻れない」と思うからこそ、苦しくなるほどきらきらして見えた。

たとえ、いま持っているものを放擲して、己を軽くすることができたとしても、その軽さはあの軽さでは決してありえない。
もう、昔の自分にはどうやったってなれない。
それが、陳腐だけれど時が過ぎるということで、大人になるということなのだろう。
ああ、あの頃の、あの気持ちは青春だったんだなと妙に納得した。

こうして書いてみると本当によくある話、当たり前の、定型的なことなんだけれど、自分の中で、自分のこととして、腑に落ちた感じだった。
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by sumi0313 | 2017-01-12 02:37 | ひびおもう

今年の短歌目標

去年は、短歌の賞に初めて応募した。
今年は、少し方向性を変えて、どんどんブログやTwitterに手当たり次第上げて行こうかなと思う。
Twitterはもう上げ始めてるけど。

とりあえず、去年作った短歌を近々まとめてアップしよう。
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by sumi0313 | 2017-01-09 01:37 | でんごん