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言葉を伝える練習帳。


by sumi
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グレート・ギャツビー

キルケゴールに手こずっている間に、青空文庫で「グレート・ギャツビー」読了。
始めてその題名を目にしてからもう20年近く経って、ようやく読めた。

時代は1920年代のアメリカ。
謎の大富豪ギャツビーの、はかなく切ない夢の実現と消失が、主人公ニックの視点を通して描かれている。

いつも思うけど、あらすじって書くと陳腐な感じになってしまうな。
実際、私も大昔に本の背表紙に書かれたあらすじだけ読んで、あまり興味を持てなかったら今まで読んでいなかったんだと思う。
今更ながら興味を持ったきっかけは、少し前に見た「ミッドナイト・イン・パリ」という映画に、作家のフィツジェラルドが出ていたから。
主人公たちはちょうど30代前後で、読むタイミング的に良かったような気がする。

今まで「ギャツビー」という人物に抱いていたのは、アメリカらしさが具現化されたような存在、つまり男らしい、肉体的な意味だけでなくマッチョであるというイメージだったけれど、読んでみるとだいぶ違った。
彼はピンクのスーツ(イメージが具体的にわかないけれど)を颯爽と着こなして、大豪邸に住み、物腰穏やかで丁寧だが少し堅い話口調の、30過ぎの男。
パーティーを開いては、誰彼かまわず押し掛けるのをむかい入れる、素性のはっきりしない男。
だけど、その内側には彼にとってのただひとつの夢が、焔のように燃えている。
それはそれは危ういほどの強さで。

人の持つ、夢は両刃の剣だ。
それは人をとても強くしうるけれど、時にあっけなく潰えてしまう。
その望みがいかに強くても関係ない。
手に入らないものはどうしたって入らない時がある。
人に夢、と書いて儚いと読むけれど、まさしくそんな事を思わせる本だった。

また読み返したいな。今度は紙の本で。
by sumi0313 | 2016-02-04 16:31 | ほんよみ