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言葉を伝える練習帳。


by sumi
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シン・ゴジラ

映画「シン・ゴジラ」を観た。
恐い映画だった。

私があまり日本を舞台にしたリアルなパニック映画を観ていないせいもあるのかもしれないけれど、知っている光景が、私が過去そこを歩いていた場所が、ものすごい勢いで崩壊していくのを目の当たりにして、恐怖した。
秩序の崩壊、物理的な崩壊、つまりは日常の、自分が生きている世界の崩壊を感じてしまって恐ろしかった。
夜の街で、ゴジラが苦しそうに火を吐いているのを見て、かすかに絶望すらした。

見る前までは、エヴァンゲリオンの庵野監督とゴジラがうまく結び付かなかった。
私のゴジラのイメージが、特撮の怪獣映画、というものしかなかったから。
でも観てみたら、監督の中でのテーマというか、描きたいことはエヴァと共通しているのだと思った。

この映画におけるゴジラというのは「突如襲いかかる得体の知れない、とてつもなく大きな脅威」の象徴、権化だ。
エヴァでいえば使徒。
それを目前にした人々はただ恐怖し、逃げ惑う。
それでもなんとかその脅威に立ち向かおうと、人は集まり議論し、対立したり協力したりしながら、手だてを考え実行しようとする。
その過程や結果において、普段の状況では起こり得ないパワーが生まれてくる。
脅威に晒された人間の集合から生まれる、粗雑で危うくはあるけれど、確かな力。
あの人はそれを描きたいのかな、と思った。

そして、その脅威が生まれてしまったことにも実は人が関与しているという、人類の業の深さ。
最後のワンカットで、それを投げ掛けて映画は終わる。
私の勝手な解釈だけれど、いろんな意味で、恐ろしい、面白い映画だったな。

ゴジラや使徒は、おそらく現実には現れない。
でもそれの意味するところは、例えば災害やテロにも置き換えられる。
いつか私の目の前で、世界がゴジラ的な何かでひしゃげてしまった時、果たしてどうなってしまうんだろう。

展開が早くて難しい言葉もあるから、細かなところで見逃してるところも多々ありそう。
上に書いたこと以外にも、組織が存在することの意義とか、日米の関係とか、考えさせられるところがたくさん。
もう一度見たいなあと思った。
by sumi0313 | 2016-10-05 16:48 | えいが