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言葉を伝える練習帳。


by sumi
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たまにはなつかしい再会を

たまにはなつかしい再会を_a0017830_192725.jpg本は大人が読むものだけではない!
ということで少々強引かもしれませんが、なつめが一年ほど前からはまっている絵本についてもこれから書いていこうと思います。
で、私が大人(?)になってから買った最初の絵本は新美南吉の『手ぶくろを買いに』。
小学校の教科書にも載ってるし、かなり有名なので知ってる人も多いはず。

初めての冬を迎えた子狐の手がしもやけにならないように、
母狐は夜、子狐に町へ手ぶくろを買いに行かせます。
片方だけ人間の手に変え、その手を差し出すんだよと言って。
子狐はおそるおそる町へ向かったのですが…

子狐は間違えて狐の方の手を差し出しちゃんうですよね。
でも店のおじさんは、子狐を捕まえようとせず、手ぶくろを売ってあげる。
黒井健の絵がすごくやわらかくて話と合ってて、
私の大好きな絵本の一つです。

ただ、いろいろと考えさせられるポイントが
含まれてるな、と今読むと感じます。
人間のおじさんが子狐に危害を加えなかったのは、
おそらく子狐が持ってた銅貨が本物だったから。
たとえ相手が狐だろうと、売買の契約が成立して、もうけになるから。
この、狐にも手ぶくろを売る、という行為は必ずしもおじさんの、
動物に対する思いやりだけで成り立ったものではないんですね。
って、この考え方ゆがんでるかな??大人になってしまった証拠?
でも、この「本物の銅貨」は、この物語が「ただの人間と動物のいい話」に
終始していない大事な要素のように思うんです。
もし銅貨が本物じゃなかったらすぐ追い払ってたかもしれない。
場合によっては戸の隙間から蹴飛ばしたかもしれない。
でも、もしかしたら本物じゃなくても手ぶくろをあげたかもしれない。
人間の、動物に対する態度ってキレイごとでは済まされなくて、
それを考えさせられる物語なんだと思います。

ちなみに、私が大好きな部分は、
実は子狐が手ぶくろを買った後のシーンなんです。
小さい頃はとくに気に留めてなかったのに、
今は何度読んでもぐっときてしまいます。

昔読んだ本をたまに手に取ってみると、なつかしかったり
新しい発見があったりと、いい再会だったりします。
この本ももしよかったら本屋で立ち読みでもしてみてください。
5分もあれば読めちゃうので。
by sumi0313 | 2004-05-30 19:28 | ほんよみ